金沢大学理工学域 自然システム学類 生物学コース

生命機構講座 坂本研究室

准教授

 坂本 敏夫 

採集してきたイシクラゲを洗浄するところ。

研究員
 吉田尚之,佐藤正幸
博士課程
 

修士課程

 角川 朝子  (バイオ松郷研)

4年

 

【進行中のプロジェクト】

人体を構成する物質のおよそ65%が水であ る事実からも明らかなように、生命にとって水は欠くことのできない重要な物質である。しかしながら、極限的な乾燥状態においても生命を維持し、吸水するこ とによって活動を再開する生物が存在する。学術的には「anhydrobiosis」(無水生活様式)と呼ばれる性質である。例えば、クマムシは体長 0.1から0.5 mmの多細胞動物であるが、ほとんど水を失った状態で代謝を停止し、吸水すると活動を再開する生物として知られている。一方で植物の場合、特殊な植物でな くても乾燥種子の水分含量は約5%であり、極限的な乾燥状態において生命が維持されている。「乾燥した状態で生命を維持することができるのはどうして か?」という問いは、生物学上非常に重要な命題である。
 私どもでは極限的な乾燥耐性を示す陸棲ラン藻Nostoc commune (イシクラゲ)を研究材料として光合成を営む生物における無水生活様式のメカニズムを研究している。これまでの研究により細胞外マトリクス、紫外線吸収物 質、トレハロース、抗酸化物質が関与していることがわかってきた。無水生活様式の全容が解明され技術化することができれば、生物を乾燥状態で長期にわたっ て常温保存し、消費する時点で水を加えて生鮮な状態に戻すことが可能となる。実現すれば、軽量化と長期保存により、食品や医薬品などの物流コストを飛躍的 に減少させる。この研究は、夢の新技術を創出するためのシーズとしての意義がある。

プロジェクトの詳細は「陸棲ラン藻の極限的な乾燥耐性の研究 」を見てください。


坂本研 卒業生の皆さんへ
2000年11月に私一人で始まったイシクラゲ研究も10年を超えました。このプロジェクトに参加いただいた学生諸君を数えてみたら総勢20名、平均在籍期間2年。博士課程に在籍して研究室の牽引役であった吉田君とモルシーが それぞれ博士を修得して修了しましたので、この2人の大先輩を知らない「完全なセカンドジェネレーション」を迎えています。高荷さん、田丸君のデータが論 文となり、また、堀口君、有馬さんの系統解析が形になりました。国田君が研究に着手したMAAのプロジェクトは松井君の活躍で新たな展開へと発展しまし た。平井くんが開始したスキトネミンの研究、政浦君の細胞外多糖の研究が進捗することを期待しています。

 「研究室は最後の学校」「人生の第一ベースキャ ンプ」と申しており、戻ってこないのは、それぞれ元気でご活躍のこと、と思っておりますが、時折、消息を聞くことができるのもうれしく感じます。「連絡先 をお知らせ頂ければ、また、私からも連絡差し上げることができるようになります。よろしくお願いいたします。 2011.4.22 Toshio Sakamoto   tsakamot@staff.kanazawa-u.ac.jp

 最終更新日2015年9月9日